ひとつのメール、ひとつの電話が、
誰かの意思決定を動かし、企業の未来を少しだけ変えていく。
本シリーズでは、最前線で働く人たちの声を通して、
この仕事のリアルと、その内側にある想いを届けます。
今回登場するのは、インサイドセールス歴4年、
ヒアリング業務を担当している林宏美さん。
異業種・未経験からの転職を経て、
夢中になれる今の仕事に出会えたという彼女に、
これまでの挑戦と、これからの夢を伺いました。
インサイドセールス歴4年
林 宏美
銀座の和食店で接客業を経験後、30歳を機に転職。2021年にZenken株式会社へ入社し、現在はインサイドセールス部門でヒアリングとチームマネジメントを担う。フィールドセールスの経験も活かしながら、お客様の心に届く営業を目指している。
東京・銀座の和食店で、約8年間接客業を続けてきた林さん。好きで続けてきた仕事だったが、30歳を迎えた頃、今後のキャリアを見直したいと考えるように。「終電近くまで働いて、翌日は昼すぎから出勤、という生活をこの先も続けていくことに限界を感じるようになって。接客は楽しかっったんですが、それ以上に“どうやって予約を埋めるか”を考えるほうが面白いと感じていることに気づいたんです。いつかは、マーケティングや集客支援の仕事に挑戦してみたいという思いが芽生えました」。
異業種・未経験からの転職。しかもコロナ禍真っ只中。林さんの挑戦は、決して簡単な道ではなかったように感じるが実際はどうだったのだろうか。「本当に自分が全く違う業種の営業に挑戦できるのか、不安は大きかったです。しかも書類選考もなかなか通らなくて、“未経験の自分にできることってなんだろう”と悩むこともありました。でも、飲食の現場でも本気で仕事をしてきた自負があったので、その時の経験やスキルを、自分なりに言語化して伝えるようにしました」。
そんななか出会ったのがZenken株式会社。選考を進める中で、社員の雰囲気やカルチャーに強く惹かれたという。「面接でお話した社員の皆さんが、本当にパワフルで。仕事のやりがいや、入社前に勉強しておくといいことなど、惜しみなく教えてくれて。雰囲気のよさやエネルギーの強さを目の当たりにして、“ここで頑張りたい”と思いました」。
入社後は、営業アシスタントとしてキャリアをスタート。新規営業商談の資料作成などを担当した。「“ただの営業アシスタントではない”を合言葉に、部署全体で受注確度を高めるために全力で取り組んでいました。私も資料作成だけでなく提案にも携われることにやりがいを感じていました」。
その後、入社から1年半後で営業職となり、インサイドセールスを担当するようになった。当初は思うようにいかず、苦労の連続だったという。「お客様に電話をしても、なかなかお話を聞いてもらえず、想像以上にうまくいかないことばかりで。売上が全然つかなかったんです。元々は器用なタイプで、ある程度のことは、そつなくこなせることが多かったので、戸惑いと不安が入り混じったような思いでした」。
ある時、営業担当者の売上一覧を目にすると、下から数えたところに自分の名前を見つけた。「“これはやばい”と、危機感を覚えました。落ち込むというよりも、“次こそ、絶対に売上を上げてやる!”と、スイッチが入った感じです。ただ自分だけで、改善しようと工夫しても、行き詰まってしまって。そこで上司に相談して、何度もロープレを重ねることで、少しずつ乗り越えていくことができました」。
努力を積み重ね、入社から5年後には、インサイドセールス部門で主任を任されるまでになった林さん。現在は、商談前のお客様への電話ヒアリングに加え、チームのKPI達成に向けた戦略設計やメンバーのフォローなど、マネジメント業務も担っている。
ヒアリング業務では、チームが獲得したアポイントをフィールドセールスに引き継ぐ前に、最適な提案につなげるための情報を正確に収集することがミッション。お客様の強みや課題、現在の状況を丁寧に聞き取っていく。「いかにお客様との距離を縮めて会話できるかが鍵だと思っています。商談前に、顔も合わせたことない人から“御社のご状況を教えてください”と言われたら、誰でも抵抗がありますよね。だからこそ、事前準備の時間は必ず確保するようにしています。ホームページや担当者の方のブログなどをチェックして、『〇〇さんって、こういう記事を書かれていましたよね?それを読んで、こういうお話がしたいと思っていたんです』『ホームページにこういう記載がありましたが、やっぱりこの辺が御社の強みですか?』とか、“本当にお会いしたくて、調べてきました”という思いをお伝えするんです。お客様が『ここまで調べてくれて嬉しい』と、積極的にお話をしてくださるようになると、お役に立てた実感が湧いて、やりがいを感じますね」。
また、“ヒアリングの質が受注確度に関わる”という思いから、お客様と話す際には、本質を見極める姿勢を大切にしている。「私たちは、お客様の課題解決を支援するコンサル的な立場でもあるので、いい意味でお客様のお話を鵜呑みにせず、“本当にお役に立てるのか”、“価値を提供できるのか”という視点で、しっかり判断するようにしています。そのために、ちょっと聞きづらいなという内容であっても、“本質を見極めるために、ここで踏み込まないと”と、余計な遠慮はせずに、こだわって踏み込んで確認をするよう心がけています」。
主任としてのマネジメント業務では、前職の店舗運営で培ったチームづくりの経験が活きている。「インサイドセールス部門は、リスト作成、アタック(=アポ取り)、ヒアリングの担当者で構成されたチームで動いています。やっぱりチームで動くとなると、みんなで解決のために連携するみたいな部分があって。例えば、私がヒアリングをして、商談化が叶わなかった案件については、“この市場はそんなに需要が伸びていないようなので、リストから避けてほしい”など、メンバーにフィードバックをしています。こういった各担当の目線で気付いたことを毎日チーム内で共有しあって、目標達成に向けて調整しています。あと"チームは掛け算"なので、各メンバーの成長が組織の成果につながると思っています。各個人の成果を数字できちんと確認して、どういう動き方をすべきかをPDCAを回して検討するなど、一緒に考えて動くことを大切にしています」。
またチームメンバーの存在は、林さん自身にとってもよい刺激になっているという。「メンバーがアポを取って、私がヒアリングをして、フィールドセールスの方に預けるという、みんなでサッカーのパスをつないでいるような感覚なんです。前のメンバーが数%の確率で繋いでくれた貴重なアポなので、“私のパートで適当なことをするわけにはいかない”と、いい意味でプレッシャーを感じながらヒアリングをしています。次に待っているフィールドセールスの方のニーズも意識して、本当に必要な情報をパスできるように心がけています。私が良い仕事をすれば、それが他のメンバーのモチベーションにもつながると信じて、仕事に取り組んでいます」。
異業種からの転職を経て、新たなフィールドでも成長し続ける林さん。転職は“自分を信じ直すタイミングだった”と振り返る。「環境が変わると、自分の可能性にも気づき直せるんだなって。“誰かの役に立てる”と日々実感できる今の仕事に出会えたのは、想像以上に幸せなことでした」。
林さんにとって、インサイドセールスとは何かと尋ねると、愛情たっぷりの答えが返ってきた。「うちのインサイドセールス部門には、“心のこもった営業体験を届ける”というミッションがあります。毎日仕事をしていると、お客様へのアクションが作業になりかねないと思うんです。でも、私たちがやりたいことは、そういうものではなくて、お客様1社1社に、心のこもったメールやお電話を届けることだよね、と。私はそれがラブレターを送るみたいだなと感じるので、インサイドセールスの仕事は、“心のこもったラブレターを届けること”かなと思います」。
今後思い描くキャリアについて伺うと、「やっぱりヒアリング業務が好きなので、私個人としては、商談の前にヒアリングで受注が決まる状態になるくらい、ヒアリング業務に特化していきたいと思っています。あとヒアリングって、お客様の課題に深く踏み込んだりするので、そのあたりの押し引きが難しくて、インサイドセールスのなかでも苦手意識を持つ人が多いんですよね。 でも、“ヒアリング業務って面白いよ”って、その魅力ややりがいをチームメンバーやその他の人たちへも広めていけたらいいなと思っています」と力強く語ってくれた。
8年前、大きな一歩を踏み出して、夢中になれる仕事に出会った。林さんは今日も、チームとお客様のために、心のこもったラブレターを届けている。
頑張り屋さんの林さんの“元気の源”
よさこいサークル
職種や年齢問わず、オープンに人と付き合うことが好きな林さん。休日の顔は、150名のメンバーが集まる“よさこいサークル”の運営スタッフ。部活のような感覚で、いい刺激になっているそう。