ひとつのメール、ひとつの電話が、
誰かの意思決定を動かし、企業の未来を少しだけ変えていく。
本シリーズでは、最前線で働く人たちの声を通して、
この仕事のリアルと、その内側にある想いを届けます。
今回登場するのは、アルバイトという立場ながら
1億円超の売上を生み出す新城玲那さん。
その背景には、豊かな人生経験と、
大切なものを守り抜く信念がありました。
インサイドセールス歴8年
新城 玲那
10年間にわたり映像制作現場でスクリプターとして活躍したのち、結婚・出産を経て自身のアクセサリーブランドを立ち上げ。電話営業のアルバイトをきっかけにセールスの道へ進み、2022年にZenken株式会社へ入社。現在はインサイドセールス部門でヒアリング業務を担当。
新城さんのキャリアは、映像制作現場からはじまった。特撮作品の制作に携わり、フリーランスのスクリプターとして、撮影状況を記録・管理するポジションを担当していたという。「早朝から深夜まで撮影が続いたり、遠方でのロケ撮影があったりすることも多かったです。10年間勤めた頃、結婚・出産を機に退職し、一度専業主婦になりました」。その後、アクセサリー作りに興味を持ち、“専業主婦やパートの方でも買いやすいアクセサリーを提供したい”と、全くの未経験から制作を始めた。「アクセサリーブランドを立ち上げたり、オンライン販売にも挑戦しました。もっと販売の知見を深めたくて、一時は並行してアクセサリーの卸売会社に就職するほど、力を入れて取り組んでいましたね」。
日々の業務をこなす中で、アクセサリーブランドの運営者として、また卸売会社の一員として、多くの営業を受ける立場になった新城さん。「この営業電話をしてくるところって、一体なんだろう?と、気になったんですよ。調べてみたら、“どうやらインサイドセールスという職種で、時給もいいらしい”ということがわかって。一回やってみたいと思って、すぐテレアポ営業の会社に就職してみたんです。私は興味が出たら突き進む"モンスター"なので(笑)」。実際にやってみると、2週間ほどで結果が出た。適職だと手応えを感じ、より規模の大きい会社へ転職。さらなるキャリアアップを目指したものの、そこは離職率が高くハードな職場だった。“このまま続けるのは難しいかも”と感じていた頃、Zenken株式会社で働くママ友から「うちに来たら?」と声をかけられたことが、今の会社へ入るきっかけとなった。
これまでのテレアポでの実績が評価され、Zenken唯一の営業職アルバイトとして活躍している新城さん。オフィスをのぞくと、同僚たちと笑顔で談笑する姿があった。「インサイドセールスチームは、みんなポジティブで元気。和気あいあいとした雰囲気ですね。平均年齢はおそらく20代?もう、自分の娘のような年齢の方たちと一緒に働いています」。
現在の主な業務は、商談前のお客様へのヒアリング。課題やニーズを丁寧に引き出し、提案担当者へとパスをつなぐ役割だ。「相手の懐に、すっと入り込むような感覚を大事にしています。お客様の本音を引き出すには、自分自身も構えない姿勢で、自然体でいることが大切なんです」。特に意識しているのは、会話の最初に相手を笑わせること。「心の鍵を“ガチャッ”と開けるために、まずは笑ってもらえるようにしています。きっちりした敬語よりも、“めちゃくちゃ難しいんで”とか、少しくだけた言葉を使うことも多いですね。“とんでもない人から電話がかかってきたな”って、相手の緊張もほどけて、自然体でお話いただけます。あと会話のキャッチボールができるように間を空けるなど、相手が話しやすい工夫も散りばめていますね」。
ヒアリングで得た情報は、次の提案フェーズを担うフィールドセールスに引き継がれる。その際、新城さんが作成するヒアリングメモは、提案の精度を左右する重要な資料となる。「このメモをもとに、フィールドセールスの方が提案資料を組み立てていくんです。汎用のパンフレットではなく、オーダーメイドのスーツを作るように、1社ごとにカスタマイズして資料をつくっているので、どれだけ“濃い”情報を渡せるかが勝負になります」。
Zenkenのフィールドセールスは、通称“フロント”と呼ばれる営業職。新城さんはその実力を“スーパーフロント”と称し、深い信頼を寄せている。「本当に素晴らしい努力を積み上げて、自分だけでなく、仲間や部下のために尽くすこともできる、すごい人たちなんです。だからこそ、こちらから中途半端なメモを渡すことはできない。ヒアリングが甘ければ、フロントの提案の質にも影響してしまうので、責任重大ですね」。
別部署ではあるが、チームとしての連携意識も強い。「言ったつもりでも伝わっていなければ意味がないので、ヒアリング内容は“どう伝わるか”を意識して、丁寧に心を込めて書くようにしています」。
新城さんは現在、週4日・時短勤務のアルバイトという立場ながら、2024年には売上1億円を達成。「売上1億って、正社員でもなかなかハードルが高い数字です。それを週4日、時短勤務のアルバイトのおばちゃんがどうやって達成するかって、まあ結構大変で(笑)。でもこの仕事のやりがいって、やっぱり売上が出たときに感じます。アポ取りから私のところまで繋いでもらった案件が受注に繋がると、素直に嬉しいんです」。
限られた時間のなかで、成果を出し続ける秘訣は、数字への意識だいう新城さん。「インサイドセールスって、アポ数、商談数、売上などゴールがいくつもあるんです。どこにゴールを置くかは自由ですが、私は“売上”にこだわってます。アポ30件、商談30件でも売上0だったら……やっぱり違うと思うんですよね」。
そんな新城さんに仕事で行き詰まったときの打開策を尋ねた。「“運を磨くこと”ですね。具体的には、運動をしたらいいと思ってるんですよ。運気の運と、運動の運は一緒なので。仕事に行き詰まってる同僚に相談されたときは、“週末プールで泳いで来たら?”とか“ちょっとジョギングしてみたら?”ってアドバイスしてます。私もパーソナルジムに通ったり、今朝もストレッチとスクワット100回してから出社しました」。
家庭では2人の子を育てる母として、好奇心に素直に、そして家族を大切にしながら働ける場所を探してたどり着いたのが現在務める会社だったそう。「正社員にならないの? とよく聞かれますが、私の本業は“お母さん”なんです。たしかに正社員になれば、お給料も上がるし、キャリアの幅も広がるかもしれない。でも私は、家のことを全部やって、ご飯も家族と一緒に食べたい。家族の幸せが、私の幸せなんです」。
勤務時間についても、家族を最優先に、部長に相談してきたという。「いつも快く“いいよ”って言ってくださって。本当にこの会社じゃなかったら、子育てをちゃんと続けられなかったと思うくらい、私の意思を尊重してくれたことには心から感謝しています」。
今後の目標は、売上“2億”の達成。「昨年、売上1億に届いたので、次はその倍。目標は高く持ったほうが、やっぱり楽しいですし、挑戦しがいがあります。仕事はゲームだと思って楽しまないと損ですよ」。
軽やかに、自然体で。家族と仲間を大切にしながら、新城さんは今日も自分らしいキャリアを積み重ねている。
活力溢れる新城さんのマストアイテム
末廣酒造の日本酒
色んな人と話すお仕事ゆえ、心苦しくなる日もあるとかないとか。会津若松の美しい清らかな水で作られた美味しい日本酒をクイっと飲んで、明日の活力につなげているそう。